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2008-08-18

ノンレギュラーズワーカーの戦い

      

この国で、十人の労働者が一列に並べば、

一人は億をゆうに超える富と地位を持っていて、

二人は一等地で裕福な暮らしをし、

二人はスタグフレーションを何とか生き延び、

そして残りの四人は、

いつどの時も死と隣り合わせの、未来の無い生活を送っている。

ガソリンどうこう以前に、とっくに瀕死のピンチなのだ。

         

毎日降ってくるかわからないその日暮らしの単純労働に汗したり、

カメラよりも安易に使い捨て出来るインスタントワーカーだったり、

黒い世界に足を突っ込んでみたり。

内容は変われど、やつらのライフサイクルは最悪だ。

          

いつまで住めるか不安になりながら安アパートに眠りにつく。

ファミレスやネットカフェに泊まり続ける。

野宿者と同じダンボールのベッドにぶっ倒れる。

やつらに安らかな夜が訪れることはない。

日本の為に働くやつの四割が、絶望と光のない空間で、

ただただ死を待っている。

これがこの国の実態だ。

         

やつらは過去につくられた犠牲者だ。

バブル崩壊後、自民党は雇用の拡大、大企業の繁栄を目的に、

やつらを作り出した。

キセイカンワ、ガイシヨビコミ、ジンケンヒサクゲン、セイカシュギ。

ラベルのネーミングはそんな類。

そして政府のお望み通り、一部のやつらが全てを独占し、

残りの大多数の奴隷が一生を使って貢ぎ続ける、

うつくしい世界が出来上がったわけだ。

ウィナーテイクオール。ルーザーミスオール。

横文字にしたって、その残酷さはちっとも変わらないよな。

資本主義の原則は、いつからオールの中に、

人の命までおまけしてやるようになったのだろうか。

    

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新政府の行政方針を見ただろうか。

五つの骨組みのうちの一つ目に、

「ワーキングプア、非正規雇用の改善」ってのがあった。

これを受けて自民党関係者は、

我々は彼らを見捨てたりはしないと言っている。

そしておれの周りにも、それを受けて、

ほのかな期待をしている若者が少しばかりいるんだ。

メールにも、政府の対策に期待をしたいなんてのもあった。

            

悪いが暴言を吐くよ。

あんたらはどこまでお人好しなんだ。よく思い出してくれよ。 

政府が認めたのは最近だが、

見捨てられた世代の問題がこの国の中心にいたのは

ずっと以前からだ。

そして小泉政権の時。この国の超格差社会の基礎を

作り上げた当時のカリスマは、あんたらに何と約束したよ。

選挙前、「就労支援法案」とやらをチラつかせただろう。

      

「痛みを伴う弱者を見捨てず、彼らの安定した暮らしを

国を挙げて支援します」

      

そう言って票を集めたんだ。

ところが選挙が終わった後、この約束は守られたかい。

覚えていないなら、その後のことはおれがレクチャーしよう。

答えは当然NOさ。

      

就業支援とやらは何一つ着手せず、

逆にでたらめな献金を保障する派遣業界を守り、

業界を、偽装・多重・架空なんでもありの金儲けの狩場にした。

狩られるのは弱者の命。

小さなろうそくのともし火が一つ消えるごとに、

戦後最長の好景気は、一握りの支配者達に

持ちきれないほどの富をもたらしたんだ。

当然国民は反発したが、その時の政府の見解はこうだ。

      

「ニートが皆働きたがっているとは限らない。

自ら選んで派遣社員をやっている人もいる」

       

これは未だにやつらが謳い文句にしているだろう。

そして最後に、奴らは最もやってはいけない手段に出た。

切り捨てられた人々を’いないこと’にしたんだ。

政府にとって都合の悪いプアワーカー達を、

救うことから消すことに大きく方針転換する。

ワーキングプアの定義は35歳まで。 

ネットカフェ難民は流動的だから数値に出来ない。

雇用の改善策なきまま、日雇い派遣廃止を進行。

この世界から、どれだけの人間が消えてなくなるのか。

あんたにだって想像つくだろう。

もう声も出ないほど搾り取った後は、掃いて捨てるまで。

これは遠い異国の話じゃない。

現実におれたちの目の前で起きていることだ。

       

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それでもまた、政府の弱者救済とやらを信じて、

無償の協力をするのかい。

何度騙されても、信じることが愛かもしれないが、

何故そこまで自民党を愛せるのか、おれには不思議だよ。

断言してもいい。

選挙が終わって、あんたのおかげで自民党がまた勝てば、

彼らは再び約束を根底からひっくり返すよ。

氷河期問題だけじゃない。

年金問題、ガソリン税、三位一体。

おれたちが政府に裏切られたのは、一度や二度じゃない。

その度に憤慨し、数週間経てば忘れちまってまた信じる。

幻の愛の味は中毒性を伴うようだ。

      

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ありがたいことに、おれのコラムを読んでくれている

人の中にはアイスエイジ達もたくさんいるんだ。

中には有料マガジンを購読してくれているやつも。

どんな読者だって、感謝の対象に決まっているけど、

固定住居が無かったり、毎日朝から深夜まで働いて

年収200万なんて生活の中で、おれのコラムだけは欠かさず

読んでくれている人らには、頭が上がらないよ。

      

だってそうだろう。

おれは何だかんだで結構な数の人間を取材して、

その都度ドキュメント方式でレポートを書いてきた。

今だって毎週そのマガジンを書いているしね。

その経験上だが、人間ってのはそこまで切羽詰った

状況になると、まず何を捨てると思う。

答えは嗜好品でもブランド物でも性欲でもなく、希望だ。

アスファルトに這いつくばって生きるには、

あまりに重くて邪魔な一品だから。

手っ取り早く身軽になって、色の無い道を歩いた方が、

ずっと気持ちが楽なんだろう。

      

そんなやつが大半を占める中、

なんとか背中の乗った希望を捨てずに

匍匐前進をするやつらがいる。

そいつらは本当に最高さ。

グルジアで殺し合いするやつらも、

世界を牛耳るホワイトハウスも、

永田町も霞ヶ関も、

誰一人彼ら彼女らの希望を汚す権利など無い。

存分に自由を求めて戦うがいいさ。 

         

戦い方はもうわかっているはず。

民主主義で最も尊く、速く、強い手段さ。

          

勝ち目が無いなんて大きな間違いだ。

よく考えてみるといい。

ついこの間終わった支配者の為のロング好景気が、

この国を明と暗を伴って駆け巡っている間、

背中にアイスエイジのラベルを張られたやつの数は、

少なく見積もって三千万だ。

      

この数の意味することがわかるだろうか。

大企業とゼネコン、それに創価学会が加わった

政府の絶対固定票は二千万。

そしてその他の党は、まだ大きな塊の民意など持ち合わ

せちゃいない(そもそも自由民主主義で、絶対固定票なん

てものがあること自体、おかしなことなんだけどな)。

好調の民主だって、弱い労働者の民意の受け皿になっている

に過ぎない。

      

つまり、三千万と言う氷の票は、

この国をどうにでも動かせるってことさ。

「次の選挙までに具体的な、ワーキングプア対策をした

党に入れる」

とういう空気にすることだって可能なんだ。

今まで国民を騙し倒した自民党が信用ならないなら、

口だけでなく、実際に何千万人をどこに就職させて、

残りをどういう形で国が支援するのか。

支援の形は金なのか、政策なのか、優遇なのか。

国民にわかりやすい形で明示しろと言ってもいい。

それだけの権利があんたにはあるんだぜ。

国民がそこまで主張するかしないかが、

今の欧州と日米の歴然たる「生き易さ」の差なんだしね。

       

国の空気を180度変える力を持ちながら、

「弱者が政治に参加したって変わらない」

なんて特定の新聞の嘘に惑わされて、

最後の光まで放棄するのかい。

チャンスはもうないかもしれないんだぜ。

      

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あんたの背中には、今尚絶対零度のシールが

ついているだろうか。

もしもそうだとしても、それはどれだけあんたがもがこうが、

絶対にはがれないような代物じゃない。

      

建前だとしても、あんたらはバブル崩壊後の

日本を救うために犠牲になった連中なんだ。

靖国に眠る英霊と、あんたらとは何ら隔たりもないのさ。

「日本を救った英雄に、いつまで私欲臭いラベルを

張っておくつもりだよ」

そう言いながら、あんたは熱くてとろけそうなほどの魂を

こめた一票を放ればいい。

どんだけ氷河期と呼ばれようが、

あんたの心は、いつだって熱い血流を動脈が送り出していて、

胸に手を当てれば、最初の鼓動が聞こえてくるはずだ。

時代と政府は、皆殺しの生存率を用意した。

それでも、心までは凍っちゃいないだろう。

それを見せてやるといい。

何年も生活を犠牲にして、悪徳派遣会社をひとつぶっ潰すの

も拍手に値するが、根本的な解決には程遠かったはずだ。

だったら、たった一度で済む選挙に、かけてみないか。

         

スコールと真夏日のコラボレーションの毎日で、

天井知らずの不快指数の中、

あんたが立ちすくむコールタールの砂漠だって、

たった一票放るだけで、まるで別世界のように変化するんだ。

嘘じゃない。

それは去年の夏の参院選を共にした、

ここの読者が一度体験済みなはず。

きっとあんたにも消えかけた未来の欠片を、保障してくれるに

違いないさ。

            

                   


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