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2008-10-14

有効求人倍率 東北出張おまけ 1

早朝六時。

地方都市と言っても、やっぱり朝は閑散としたものだ。

小鳥のさえずりのアンサンブルは、都市部よりずっと

深みと輪唱がいかしているし、高層ビル群の変わりに

緑を少しばかり薄めた山々が見えるが、

駅前は車も人も数えられるほどだった。

だが、車の流れを避けるように、

小さな旧式のビルの袂に集団が。

じっと動かず、きれいに整列して並んでいる。

まるでそこだけ東京の新橋や船橋の朝である

かのように、酸素の薄い空間が作られていた。

          

          

東北は一点の疑いの余地もなく秋晴れ。

一面の紅葉とはいかずちょっと残念だったが、

寒波と引きかけに現れる一面の紅の世界と

引き換えに、おれの細胞が残らず伸びをしそうな

空と土と虫と空気があった。

「気持ちのいい空ですね」

ってのはよく言われるらしいから、ちょっと捻って、

「もう、全部が空ですね」

と、重松清風に言ってみたが、それもやっぱり

何度も言われるらしい。

「東京の人は感動するらしいね。おらたちにはわか

んねーけど」

無限の色を持つ大自然の前では、人間の持つ言葉

のレパートリーなどものの数では無いのだろう。

誰もが神秘の風を扇がれて、最初の鼓動へと時計

を戻すのだ。

         

      

初日は福島から入ったんだけど、ここでは

岩手のことを書こう。

花巻、盛岡、釜石。

三大都市とその周辺を見てきた。

天気予報は時折ブルーの傘を映していたが、

おれの滞在中は見事に晴れ。

読者も時折してくるが、おれは根っからの晴男

らしい。

何を非科学的ななんてつまらない議論はよそう。

クリスタルのように幾重にも太陽を反射する

草木や森、そして大地を這う虫の甲殻に、

化学なんてほとんど通用しないだろう。

      

帰宅してすぐに、マガジン用にLASTEDEN、

アースリーパラダイス。有料マガジン用に年金

神話と農業ってのを書いた。

とにかく書きたいと思っていたことを、すぐに文章に

したくなる。

一日遅れれば、それだけ鮮度が薄れるんだ。

おれが三流だからと言われればそれまでだけど、

頭の中の世界だけじゃどうしても限界ってあるんだ

よな。静かな部屋より、雑踏の中のカフェで書くほう

がうんとはかどるのはきっとこのせいだ。

で、残りの一つを今書いているってわけ。

ポーカーの最後の一枚は、求人についてだ。

         

冒頭の一団は、派遣で集められた若者達だ。

東京と同じく、早朝に不作為の人間が集められ、

名前を番号に置き換えて点呼して出発する。

夜まで肉体労働をこなすと、また同じ場所に

連れてこられ、静かに散っていくのだ。

       

福島、岩手、秋田の求人倍率は105%だった。

これは役所の人間が勝ち誇って言った数字。

そしてこれを盾にして、駅前で演説していた

某党の政治家は

「仕事はあるんです。若い人が選り好みしている。

給金が低いのも、東京を基準にしているからです。

土地に見合ったお給料と言うのがあるでしょう」

と恥ずかしげも無くほざくのだ。

      

東京は物価が高いから、それだけ給料が必要。

これは高度経済成長期にその現象があったことで、

未だに一部の人間に信じられている都市伝説だ。

どうして彼らは口で言う前に、実際に自分で行って

調べないのだろうか。

米、パン粉、バナナ、醤油、ケチャップ、長ネギ、

鳥モモ肉、豚ひき肉、さんま、ホタテ、いわし、

寝具セット、エアコン、液晶テレビ、ゲームソフト。

これらの値段を東京の練馬、江東、成城の三つの

スーパーと、福島、岩手、秋田で立ち寄った三つの

スーパーで比べてみた。

勿論、家電系は同商品で比べてるよ。

      

練馬 143,760円 

江東 147,625円

成城 138,200円 

福島 138,518円

岩手 140,002円

秋田 139,600円 

    

これのどこに差があるんだろうか。

最も富裕層が暮らす成城が一番安価な理由を、

三位一体推進委員会の皆さん、どうか演説よろしく。

    

沖縄で自給自足だとか、土地を持っていて農業も

しているなら別だが、普通に暮らす分には、東京も

田舎も大した差は出ないよ。

おかげでおれは見知らぬ土地で、与党議員の関係

者と口論する羽目になるところだった。

危ない危ない。

おっと、派遣組みが出発するぜ。

彼らと同行するのは、以前にも何度もやっているから、

おれたちは先回りしよう。

とりあえず新聞広告を管理している会社にGO。

安心してくれ、ちゃんとアポは取っているから。

そしてその後は、ちょっと愉快な算数の時間だ。

             

             

■ちょっと■

有料マガジン等では詳しくレポートしていくけど、

地方の老人ホームや商店街は、悲惨と言う言葉

しか当てはまらないくらい酷いものだった。

人口はけっこういる都市なのに、夜のゴールデン

タイムに人影さえない。

冗談みたいな話ですが、バスの運転手に聞くと

こう言っていた。

「若者は本当に金がないんだよ。だから全然

遊ばない。外食産業も量販店もどんどん潰れてる」

都会の若者も金の無さでは負けてないが、

ここまで市場が凍りついているのを見ると、

正直愕然とした。

自民党が掲げた新自由経済は、ようやく見直しの

岐路にあるが、それとはもはや無関係に、日本中

の都市が滅びてしまったのかもしれない。

生き残りをかけた競争は、結果のどかに暮らすこ

を悪だと定義し、お国のためにワーカホリックに生

きることでしか道を見つけられない社会が出来た。

結果、地方が死に、都心部だって亡者みたいな

自律神経がいっちまった連中が下を向いて歩く

カオスタウンに成り下がった。

そして政府が推奨した素晴らしき競争も、

おれたちにはなんの恩恵も無い、最低の出来レー

スだったんだから、救われない。

だけど、一番悲しいことは、

そんな現状でも、地方の方が与党への信頼が

高いんだ。

「自民党の言うとおりにしていれば・・・」

小泉改革以来、これをずっと唱えながら、

来ることのない朝日を待ち焦がれているのだ。

      

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